英語の歴史

すべてのものに歴史があり、何かをちゃんと理解しようと思ったらその歴史を学ぶ必要がある。学校教育の中では歴史は文系、となっているが、数学も理科も、これまでの人類の考え方の歴史を習っているにすぎない。さて、本格的に英単語・熟語の解説に入る前に、英語の歴史を少しだけ見ておこう。トリビアとしてだけでなく、実際の理解にも関わってくる。

さて、こんなことを知ってどうなるのか、と訝しがる人もいるかもしれないが、これから英語を学ぶ上で地味に大事なのだ。

例えば、英語の歴史から、英語はゲルマン語系の文法体系と、ゲルマン語系・およびラテン語系の語彙から成り立っていることがわかる。特に、上流階級がラテン語・フランス語を使っていたことから、専門用語はラテン語系が多くなっている。これは、ラテン語系の語源を知ることで、多くの英語の単語をまとめて覚えられることを意味する。例えば、portは港を意味する。ここからimport →中へ+港→輸入する、export→外へ+港→輸出する、transport→移す+港→輸送する、といった単語が生まれた。

また、豚がpigなのに豚肉となるとpork、羊はsheepなのに羊肉となるとmuttonとなるのも、ノルマン・コンクエストから理解出来る。動物の時はゲルマン語系、肉の時はラテン語系となっているのだ。被支配階級が家畜を飼育し、支配階級がおいしくいただいていたのだろう。

 

単語だけではなく、英文法も、歴史を知ることで理解が深まる。

たとえば、中学英語でまず躓く、三単現のs。これは日本人からしたら存在理由が全く理解できないものだが、他の印欧語族の言語を見てみれば理由は明白だ。印欧語族では、動詞というのは主語が何かによって活用するのが一般的だ。これは現代ドイツ語やフランス語などでも同様だ。例えば、ドイツ語でto loveを意味するliebenは、1人称2人称3人称(単数形)、1人称2人称3人称(複数形)の順に、liebe, liebst, liebt, lieben, lieben, liebt, liebenと活用する。シェイクスピアの時代には、2人称単数形の動詞の現在形には-estという活用語尾がついたりしていた。文法が簡素化された英語で、現在でも唯一残っているのが、三単現のsなんだ。(だから100年後には三単現のsがなくなっていても不思議ではない)

 

他にも、不定詞がなぜ「不定」詞というのかも理解ができる。動詞は主語が定まると対応して活用するのが基本だ。不定詞というのはそれが定まっておらず、活用していない形のままだから不定詞と呼ばれるのだ。

名詞ももともとは格変化した。主格(~が)、所有格(~の)、与格(~に)、目的格(~を)などを格変化によって表現していたのだ。ところがそれもなくなってしまった。代わりに、格を表現するのに語順を活用することになった。だから英語では語順のパターンが意味を規定するようになり、文型といわれるものができてきたわけ。

他にも、形容詞の活用にも歴史が反映されている。比較級、最上級の作り方は、-er/-est型とmore/most型があったよね?その違いは一般的に音節の数の違いとして説明されているけれど、実は前者はゲルマン語系、後者はフランス語系の形容詞に使われている。ちなみに、ドイツ語では全て形容詞の比較級・最上級は-er/-estと語尾を変化させてつくるし、フランス語ではplus/le plusを形容詞の前につけることで比較級・最上級を作る。そしてゲルマン語系の単語は音節が短いものが多く、フランス語系のものは長いものが多いのだ。

 

以降英語を学ぶときにはその歴史もちょっと頭の片隅においておいてくださいね。

fy

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